空耳人生

世界各地でジモティーのフリをする

夜のニューヨーク地下鉄はミステリー列車

ブルックリンのHalyardsというバーのジャムセッションに行った時の話。クイーンズのアパートからの直線距離は12kmぐらいだが、Googleマップで調べると地下鉄で1時間強もかかる。それもそのはず、クイーンズとブルックリンは隣同士だが、間を行き来する地下鉄路線はGトレインしかなく、それを使って2回乗り換えるぐらいだったら一旦マンハッタンを通ったほうがマシと言うことになってしまうからだ。日中でさえ10分間隔が当たり前のNYの地下鉄に、夜乗るとなれば極力乗り換えは避けようと思うのが当然。で、下のようなバカバカしいルートが画面に現れるのにも慣れてしまう。UBERならもっと早いだろうが、地下鉄なら$2.75なので、早めに家を出てのんびり行くことにした。 

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ちなみにNY地下鉄公式マップで見るとこういう感じ。Rトレインで目的地まで27駅、乗り換えは無し。 

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7駅目のQueens Plazaで最初の異変は起きた。Rトレインの車両は旧型車で、オンボロでノイズだらけの粗悪なスピーカーから車掌が一所懸命に何か言っているなと気づいた私はヘッドホンを外してよく聞いてみた。「今からMトレインになります!」 夜間や週末に電車が工事を迂回するために別路線に入ることを知っていた私は直ぐに頭に地下鉄路線図を思い浮かべたが、Mトレインだと目的の駅に辿り着けないではないか。

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ただ、このままずっとMトレインとして終点まで行くのではなく、どこかのタイミングで本線へ復帰するだろうと思った私は車内にとどまることにした。Queens PlazaではEFトレインにも乗り換えられるが、それらの路線も経路変更しているかも知れないし、それこそ運休していたら来ない電車を待つ分だけ時間を無駄にしてしまう。どこから本線に復帰するかはアナウンスされず、わずかな停車時間に公式アプリを開いて運行情報を調べるには時間が足りない。駅構内に無料Wi-Fiはあるが広告が流れて接続するのに時間がかかったり、繋がらなかったりする。Wi-Fiを切って4Gの電波が拾えたとしてもアプリ起動時にも余計な画像が毎回現れるので大抵間に合わない。つまりこのご時世にまだNYでは「勘に頼る」という時代遅れなことをやっているのだ。

Mトレインとしてマンハッタンに入った車両は6thアベニューを南下し、West 4の駅まで来た。ここで車掌のアナウンスがまた変わった。「この電車はBトレインです」え?Bになっちゃうの?

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私はすかさず路線図をまた頭に描いて考えた。このまま乗り続けるか、降りて乗り換えるか、このわずかな停車中に決めなくてはいけない。BということはブルックリンのDekalb AvRに乗り換えられるかも知れない。

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しかし、そもそもその先のRが運休だったら?それよりWest 4で降りてFに乗り換えた方が良くないか?Fなら目的の駅に辿り着ける。

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しかし、Fが一部区間運休していないとも限らない。というか現に数日前それでFの駅を諦めて10分ほど他の駅に歩いたばかりだ。FRどっちが確率が高いか。調べる時間がない時に私がいつも下す決断はこうだ。「取り敢えず乗れる電車に乗って行けるところまで行く」。

Bトレインと化した電車は隣駅Broadway LaFayetteでも同様に「これはBです」と役立たずなアナウンスを繰り返したが、その次のGrand Streetでようやく「Dekalb AveからRに戻ります」と告げた。それを早く言えよ。

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つまり、今回の一連の心配は杞憂に終わったわけで、もしずっと寝ていたとしてもちゃんと目的地には着けたわけだけど、目的地によっては乗り換えが必要になることも多いので、やはり車内アナウンスには注意しなくてはいけない。それはつまり「NYは地下鉄に乗っている時でさえ緊張を強いる」と言うこと。のんびり音楽鑑賞もできないと思った途端、なるほど多くのミュージシャン達が地下鉄移動を嫌がって地元のセッションにしか足を運ばなくなる理由もわかるような気がした。