空耳人生

世界各地でジモティーのフリをする

リスニング

読んだり書いたりがある程度できるようになっても、リスニングが難しいというのは当然の流れ。相手の言っていることが分からないと会話は成り立たないからスピーキングも伸びない。どうしたら話せるようになるのか。

 

僕がオススメするのは「字幕書き取り」です。字幕と言っても日本語字幕じゃなくて英語(または他の外国語)の方。つまり、話されている言葉を文字で読み取って、紙に鉛筆で書くのがいいのです。

 

NYに住み始めた頃の僕の英語力は、【質問は出来て答えもまあまあ聴き取れたけど、相手から話しかけられた時に何のジャンルの話なのか分からないと全くついていけない】レベルでした(幸い、音楽理論の話は興味の対象だったから全て理解できたけれど)。休み時間や放課後に雑談が始まると僕は一人ぼっちに。

 

そこで僕はビデオでGodfatherを何遍も観て、英語字幕を全て書き取る事にしました。どうやら(当時の)アメリカ人にとってGodfatherは日本の水戸黄門サザエさんドラえもんにあたるぐらい誰でも知っていて、会話の端々にも出てくる存在らしかったのです。最近だったらなんだろう?ちょっと古いけどBreaking Badとか、House of Cards(これは今の僕でも難しいけど)かな?

 

ビデオレンタルだと残念ながら字幕は日本語だけという事がほとんどで、昔は現地でDVDを買ってましたが、今はNetflixなんていう便利なものが(回し者ではありません)。リモコンで日本語字幕、英語字幕と切り替えられるのでバッチリです。YouTubeでも選べば字幕が出る動画が増えてきましたよね。

 

内容は何がいいのか?名作、ニュース、アニメ、ドラマなんでもいいと思いますが、自分が惚れ込んで何度観てもいいと思うものがいいと思います。因みにお恥ずかしながらロマンチストの僕はタイタニックを100回は観ました(笑)。

 

なぜ書き取りがいいのか?その理由は書き取る為にスピードを落とすことで、単語を覚えられるからだと思います。聴き取れない単語も一時停止すれば字幕を見て辞書を引けますよね。そうやって時間をかけて覚えた単語は自分のボキャブラリーになるので、自然に自分からも話せるようになります。

 

そして面白いのは、自分と同じ言い回しをしている人がいると、人間はすぐそれに気がつくのです。最初「知らない単語だな」と思ったのに、勉強した翌日に街を歩いていたらあちこちからその単語が聞こえてきてビックリしたことがあります。知っている言葉と知らない言葉の聞こえ方は違うんだなと思いました。ボキャブラリーが増えると自動的に聞こえてくる言葉の数も増えていくので楽しいですよ。

 

字幕書き取りのアイデアは実はある人から盗みました。その人は何故か映画ターミネータースペイン語字幕を書き取って勉強していましたが(笑)。

 

ズルだ、カンニングだ、邪道だという人もいますが、僕は正攻法を押し通して一生分からないよりいいと思います。例えばフランス映画を1000回見ればフランス語が分かるようになると思いますか?最初はやっぱり分かるきっかけが必要です。

 

僕は本業の音楽の方でも語学の字幕書き取りにあたる耳コピで苦労していました。ところが、音大に行ってみると先生方が皆口を揃えて「再生速度を落として一音ずつ聴き取れ」と言うのです。それは正しいアプローチじゃないんじゃないですか?と訊くと、決まってWho cares?(誰が気にするかそんなこと)と返されました。

 

更にジャズの歴史の授業ではもっと面白いことを学びました。デューク・エリントンも最初は耳が悪く、聴き取りに苦労したのだそうです。そこで彼は自動ピアノの後ろに回り、鍵盤を操作している巨大なピアノロール(オルゴールが針で鍵盤を弾くのに似た仕掛け)をノートに書き写して勉強したのだというのです。あの素晴らしい名作の数々を生んだ巨匠も最初はそうだったのかと思うと、自分も自信を持ってどんどんズルをしようと思ったのを覚えています。

 

# 正攻法って言うのは結局、本当に上達して卒業されちゃうと困る語学教育産業の仕掛けた罠なんですよ。

 

さて、その後Godfatherの書き取りはどうなったか。ある日の放課後、友人たちとたむろしていた時に、僕はアルパチーノのあるセリフを使ってみました(勿論声色も真似て)。Just when I thought I was out, they PULL ME BACK IN! (この世界からやっと抜け出たと思った瞬間に奴らは俺をまた引きずりこむのか!)  見た目完全ジャパニーズの僕の口から、イタリアンマフィアの豪快なセリフを聴くと思っていなかった友人達は腹を抱えて笑いころげました。Tsuyoshi, you are great!! 外国語で初めて誰かのハートをガッチリ掴む手応えを感じた瞬間でした。

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