空耳人生

世界各地でジモティーのフリをする

マルチリンガル

旧友と12年ぶりに再会し話に花が咲いた。その中で、当時は吹いていなかったフルートについて、同じくミュージシャンである彼は僕に尋ねた。「ソプラノサックスとフルートはキーの仕組みは一緒なの?」

僕の答えはこうだ。「全く一緒ではないけど共通点はとても多いよ。スペイン語ポルトガル語がそうであるみたいにね」。

サックスとフルートのドレミファソラシドはほとんど同じだ。ただ、シからドに上がる時にサックスは左手の人差し指を離して中指を押さえるが、フルートは人差し指はそのままで親指を離す。また、シのフラットもサックスは人差し指で処理するが、フルートでは親指で対応する。小さな違いと思うかもしれないが、共通点が多いだけに、却ってこの小さな違いでミスをすると、「ああ、やはり持ち替えの人は…」と思われてしまう。

スペイン語ポルトガル語でも同様に、この小さな違いで混乱が起きる。水はスペイン語でもポルトガル語でもaguaと言うし、こんにちはは共にオラだが、綴りがholaとolaで違うから書く時は気をつけないと行けない。スペイン語で質問はpregunta(プレグンタ)だが、ポルトガル語だとpergunta(ペルグンタ)。まるで人差し指と親指の違いのよう。

そう言えば、リンゴを英語ではappleと綴るが、オランダ語ではappelとここでも入れ替えが起きている。ただしこの場合は発音は同じだ。Good afternoonをロシア語ではドブレディンと言い、チェコ語ではドブリーデンと言う。沢山の外国語を学ぶのは混乱も多いが、こうした発見があるから面白い。そして発見の確率は言語の数が増えるごとに上がっていく。

このことに気づいたのは、学んでいる言語が5つを超えたあたりからだったと思う。もともとduolingoでスペイン語を勉強したのが始まりだったが、全問題を終えてしまったので、じゃイタリア語もやってみよう、それも終わったからフランス語もやってみよう…と続けているうちに、気がついたら13ヶ国語をちょっとずつ話せるようになってしまった。

尤も、殆どの言語はアプリで遊んでるだけなので3歳児レベル。実世界で人と話したら直ぐに言葉に窮してしまうから実用的とは言えないが、学ぶ楽しみは実用性を超えて人生を豊かにしてくれていると思う。